黄金律 7+1 って何?
重要な意思決定をくだすとき、あなたはどうしていますか。
ひとりで考えて決める人もいれば、信頼できる数人に相談して決める人もいます。担当部署でまとめて決めることもあります。やり方はさまざまです。でも、AIを使ったシステムを動かす場面では、どの方法も少し心もとない感覚があります。
なぜなら、AIは「それっぽい答え」を自信満々に出す特性があるからです。「おかしい」と止める人間がいなければ、間違った方向にどこまでも走り続けることがあります。
この連載では、そのリスクに対して「黄金律 7+1」と呼ぶ諮問(重要な決定を下す前に関係する人や組織に意見を求めること)の型を実際に運用しています。この章では、その全体像をつかんでもらうことを目的にします。
Q. そもそも、なぜそんな大げさな仕組みが要るのですか?
A. 「自分に都合のいい答えを出す」バイアスが、AIにも人間にも共通してあるからです。
ひとつの判断軸だけで大事なことを決めると、見落としが起きます。人間でも同じことは起きますが、AIエージェント(仕事を任せられる相棒のようなAI)の場合、その判断が自動で連鎖していくぶん、ミスの影響範囲が広がりやすい。
だから、意思決定の前に「複数の角度から一斉に意見を出させる仕組み」を作りました。
Q. 「7+1」という名前の意味は何ですか?
A. 7つの内部役職と、1体の外部監査役の構成からきています。
「7」は、AIで構成した内部の7つの役職を指します。技術を見るTech Lead(技術統括)、運営全体を見るCOO(運営統括)、品質を管理するQA(品質保証)、トンマナ(言葉遣いや雰囲気の一貫性)を管理するBrand Voice、タスクを振り分けるTask Dispatcher(振り分け役)、リサーチを担うResearcher(調査役)、コンテンツ全体を見るContent Director(コンテンツ統括)。この7体が同時に、並列に(順番ではなく横一線で)意見を出します。
「+1」は、7体とは別枠で立てた外部監査AIを指します。この連載では「Antigravity」(アンチグラビティ)と呼んでいます。内部の7体とは異なるベンダー(会社)のAIを使っているのがポイントで、身内ではない独立した目を入れることで、身内だけでは見えにくい問題を炙り出せるようにしています。
Q. 7+1 で意見を集めたら、それで終わりですか?
A. 終わりではなく、最大3周回します。
1周で終わりにしないのには理由があります。1周目は「土台を作る回」です。全員が初めて意見を出す段階なので、ここで一番多くの盲点(見落とし)が出てきます。
2周目・3周目は「固める回」です。1周目で出た指摘をもとに修正し、また回す。これを繰り返すと、組織の意思決定が「防弾化」していきます。鉄の壁を一発で作るのではなく、弱いところを見つけては補強するプロセスを繰り返すことで、実質的に強固になっていく。
Q. 1周の中の順番はどうなっていますか?
A. 三段諮問という構造になっています。
1周の中も、3段階の構造があります。
まず外部監査(Antigravity)が一次で観点を出します。「こういう点を気にして見てほしい」という視点の地図を作る役割です。次に、内部の7体が並列でそれぞれの視点から意見を揉みます。最後に、外部監査が二次確認として「内部の議論で何か大事なことが抜けていないか」を詰めます。
一次観点出し → 内部並列で揉む → 二次で詰める、この3段の流れを1周と数えます。
まとめ
黄金律 7+1 の全体像を整理すると、こうなります。
- 7 = 内部の7つのAI役職が並列で意見を出す
- +1 = 別ベンダーの外部監査AIが独立した目で確認する
- 3周 = 最大3回この一巡を繰り返す
- 三段諮問 = 1周の中が「外部一次 → 内部並列 → 外部二次」の3段構造
各要素の詳細は後続の章で順番に書いていきます。まずはこの全体像を頭に置いておいてもらえると、先の話がつながりやすくなります。