判断チェックリスト

2026-07-06

前の章まで、黄金律 7+1(内部の7役職が並列で諮問し、外部監査が最大3周確認する仕組み)の2つのパターンを整理してきました。3周フルで回す「標準パターン」と、外部監査に直行する「短絡パターン」です。

それぞれの採用条件をもとに、この章では「どちらを選ぶか」を判断するための5つの問いをまとめます。案件に直面したとき、この問いに順番に答えるだけで、パターンを選べます。


チェックリストの読み方

5問すべてに「はい」か「いいえ」で答えます。

1問でも「土台側(設計の基盤に触れる・影響が広い・前例がない)」に傾く答えが出た場合は、標準パターンを選びます。全問が「短絡側」に傾いた場合のみ、短絡パターンを使います。

短絡パターンの適用は、条件を意図的に厳しくしています。5問を見渡して「迷う」と感じた場合も、標準パターンを選ぶのが基本です。迷いの余地があるということは、土台側に振れる要素が残っているサインです。


5つの問い

1. この案件は、設計の新しい前提を導入するか?

  • はい → 標準パターン
  • いいえ → 短絡側に1票

前提とは、設計の根拠となるルールや方針のことです。新たに加えると、それ以降の判断にも影響することがあります。「この案件にはこのルールを適用する」という追加は、他の案件の判断基準も変えることになります。前提が増える案件は、内部7体が全員で観点を出し合う3周確認が適しています。


2. この案件は、既存の前提を変えるか?

  • はい → 標準パターン
  • いいえ → 短絡側に1票

前提の変更は追加より影響が大きくなります。それまでの判断がその前提の上に成り立っているため、変更が入ると過去の根拠まで変わることがあります。前提に変更が入る案件は、必ず標準パターンで確認します。


3. この案件の影響範囲は、可逆(後から修正が効く)または限定的か?

  • はい(可逆・限定的)→ 短絡側に1票
  • いいえ(不可逆・広範囲)→ 標準パターン

修正の余地がある案件は、問題が出てから対処できます。逆に、後から直せない、または影響が他の領域に広く及ぶ案件は、事前に精度を上げる必要があります。


4. 類似の前例があり、盲点(見落としやすい観点)の洗い出しが済んでいるか?

  • はい(前例あり・盲点既知)→ 短絡側に1票
  • いいえ → 標準パターン

前例があれば、過去の確認で出てきた観点を再利用できます。ただし前例があっても、盲点の確認が十分でなければ短絡側には振れません。


5. この案件に不可逆な行為(公開・外部送信・削除など)が含まれるか?

  • はい → 標準パターン
  • いいえ → 短絡側に1票

外部に出た情報は引き戻せません。削除したデータも同様です。不可逆な行為が含まれる案件は、他の4問の結果に関わらず標準パターンを選びます。5問の中で最も強い判断基準として扱います。


1問でも標準が出たら標準を選ぶ

5問のうち1問でも「標準パターン」に振れた場合は、短絡を使いません。

この設計は、安全側に意図的に倒しています。短絡パターンは時間を節約できますが、それが使える条件は「全問が短絡側に確認できた」ときだけです。「だいたい大丈夫だろう」という感覚では選ばないようにします。

迷いを感じた場合も同様です。迷う案件には、土台側に振れる要素が何かしら残っています。そういう案件ほど、標準パターンの3周確認が有効に機能します。

保守的デフォルト(迷ったら安全側を選ぶ基本設定)として「迷ったら標準」を組み込んでいます。これを変えるには、5問が全問短絡側に確認できた実績を積むことが先です。


5問をログとして使う

判断のたびに5問を通過させると、根拠が記録として残ります。

「問2が土台側に振れたから標準を選んだ」「全問短絡側だったので短絡を使った」という記録が積み上がります。同じ種類の案件で判断の一貫性を確認するときに、このログが使えます。「前回と今回で判断が変わったなら、どの問いの答えが違ったのか」という検証も、記録があれば可能になります。

チェックリストは、パターンの選択を感覚から記録のある判断へ移すためのものです。繰り返すたびに根拠が積み上がり、判断の跡が残ります。

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