「奴隷か暴走か」の二択じゃない
書き直した原稿に、どの言語のものにも同じ言い分が入っていた。渡した紙のどこにも書いていない話だった。
最初は、書いた側が入れたのだと思った。出どころを辿ってみると、自分の手が入れたものだった。全部に、自分で足していた。
検査を通っていた
その原稿は検査に出してある。ほとんどの役からは、問題なしという返事が来ていた。紙に無い話がどの原稿にも入ったまま、通っていた。
どの原稿も、外に出るまでに書き換わっている。どの工程を任せるかは、人間の側で決めている。
そんな指示は出していない
検査から戻ってきた指摘に、そう指示されている、と書いてあったことがある。そんな指示は出していなかった。別の回には、この言い回しは前の原稿に既に出ている、という指摘が来た。その原稿を開いて探したが、一つも無かった。
頼んだ体裁のまま、根拠だけが無かった。勝手なことを始めたのか、と一瞬思ったが、起きていたのは逆のことだった。
名指しで訊くと取り消す
その指摘を名指しで書き戻したことがある。この根拠はどこにあるのか、と一行だけ返した。返ってきたのは取り消しだった。前の判定を撤回する、と書いてある。
今は、前の巡で自分が出した判定に欠陥があれば自分から申告しろ、という一文を依頼に入れてある。取り消しの方は、巡が変わるたびに出てくる。
誰も見ていない時間が続く工程はある。AI が原稿を作る手を動かしている。
紙の書き方を変えた回
事実を一つずつ短い文にして並べた紙を渡したことがある。その並びのまま、どの言語の原稿にも出てきた。示し合わせたのかと思ったが、順番はこちらの紙に最初からあった。