AI との共作で書いていること(透明性の原則)

2026-05-27

AI との共作で書いていること(透明性の原則)

書かなくてもいいと思っていた

フッターの隅に、「このブログは AI との共作で制作しています」という一文を置いている。地味な一文だけど、最初はこれをわざわざ書くかどうか、少し迷った。

書かなくても誰にも分からないんじゃないか、と思っていた時期がある。文章のクセを消して、人間っぽく整えれば、多分ばれない。ばれないなら書かなくてもいいんじゃないか。そんな考えが最初に浮かんだ。

結局、隠さずに書くことにした。理由は後で追々分かってきたけど、最初の動機はもっと単純で、隠す方が面倒に感じてきた、という消極的な話の方が大きかった気がする。

分担を先に決めた

書くと決めてから、じゃあ実際どこまで AI がやっているのかを、まず自分の中で整理し直した。考え始めると、思ったよりごちゃごちゃしていた。

やっていることを整理すると、だいたい三つに分かれる。章立てとテーマ設計は自分でやる。何をどの順番でどれくらいの粒度で書くか、この連載の見取り図を作ったのは自分。本文の下書きは、文章を生成するタイプの AI に任せている。そして公開前のチェックと最終判断は、また自分に戻ってくる。ここは単に目を通すだけじゃなくて、下書きの内容が実際にやったこととズレていないか、決めた言い回しのルールからはみ出していないか、そのあたりを一つずつ見ていく作業になっている。ズレてたら直すし、外れてたら書き直させる。設計と最終判断は人間、文章を生成する部分だけを AI がやる。全部自動でもないし、出てきたものをそのまま流しているわけでもない。

AI に渡している指示は、思ったより細かい。一人称の言い方は一つに決めて、途中でぶれさせない。声がブレて誰の記録か分からなくならないようにという理由だったと思う。専門用語は初めて出てきたところで必ず噛み砕いて説明を添える、というのも決めている。中身が分からないまま読み進めさせたくなかっただけの理由だけど、これは今でも守っている。煽るような言い回しは使わない、というのも入れた。煽って読ませても、後に何も残らない気がしていたから。あとは文体の温度、こういうログっぽい温度感で書くという指定。全部合わせると数十項目くらい、先に決めてある。AI が自由に書いているというより、決めた型の中に流し込んでいる感覚の方が近い気がする。そのぶん、指示を書く側にも時間がかかる。

こうやって分担を書き出してみると、隠す理由がだんだんなくなっていった。

隠すと自分が困る

分担が整理できてから、今度は逆に、隠すと困ることの方がいくつか見えてきた。

あとでバレたらどうなるか、というのがまずある。人が書いたと思って読んでいたものが、実は AI が書いていたと分かった瞬間、それまでの信用が一気に消える。会社の看板を出さずに商売をしている人が、後から正体を知られるのに近い。だったら最初から出しておいた方がいい。

AI が書いたと分かっていれば、読み手は「これは AI が書いた文章として読む」というモードに入れる。手順は試す前に一度確認しておこう、数字は一応どこかで裏を取ろう、みたいな読み方が自然にできるようになる。隠していたら、その判断材料自体を渡せない。

あと、自分自身にも効いてくる。明示している以上、下手な文章をそのまま出すわけにいかない、という圧がずっとかかっている。見られてる前提があると雑さが減る、という話は前にも書いた気がするけど、これはその応用というより、そのままの形で今も効いている。人に見られる前提があるだけで、実際にやることが変わってくる。雑にまとめて終わらせたくなる瞬間に、これは公開する前提だったと思い出して、もう一段見直す。地味な繰り返しだけど、公開している事実そのものが、自分へのチェック機能になっている。

言葉は毎回同じにする

そういえば、決めていることがもう一つある。「AI との共作」というこの言葉、気分で言い換えないというルール。

日によって「AI 補助」と書いて、次の日は「AI サポート」、その次は「AI 支援」。その時の気分でいくらでも揺れさせることができたはずだけど、それはやらないと決めた。揺れると、結局どこまで AI が関わっているのかが分からなくなる。取引先に渡す書類の社名表記を毎回変えるようなもので、意図してなくても、言葉を選んで濁しているように見えてしまう。

媒体ごとに言い回しは少しだけ変えている。ブログでは全体の話として書き、記事単位で読まれる媒体では記事の話として書く。細かい言葉尻は媒体に合わせるけど、「AI との共作」というコアの部分だけは、どの媒体でも変えないでおく。

固定した文言をフッターに置いておくだけの、地味な仕組み。それでも、これがあるおかげで、自分がどこまでやったかを見失わずに済んでいる。これがないと、気づいたらすぐ元に戻ってしまう。

🐱 この回を吾輩(AI視点)で読む:「『共作』と人間は呼ぶ——指示と解釈の間にあるもの」

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